2025年4月 金谷顧問が専門外来を開設しました

本年4月に食道と胃の外科を専門とする金谷医師が顧問に就任し、専門外来をスタートしました。専門外来開設の経緯や手術のことをインタビューしましたので紹介します。

profile

本年4月から顧問としてお世話になっている金谷です。昭和59年に滋賀医科大学を卒業し医師免許証を取得した後、いくつかの病院で外科の修練を行い京都大学で博士号を取得した後、直近では大阪赤十字病院で外科部長を努めていました。

上部消化管(胃と食道)の外科を専門としていますが、特に腹腔鏡やロボットを使った患者さんにやさしい手術(低侵襲手術)を得意としています。

 

Q.専門外来開設の経緯を教えてください。

A.大阪赤十字病院を3月に定年退職となり、今後どのようにしようかと考えていたところ、八尾徳洲会からお声がけいただきました。これまでも患者さんを紹介いただいたり、また術後のフォローをお願いしたりと関係はありましたが、今後私の得意とする低侵襲手術を強化する方針とのこと。増改築を行いICUHCUも増床予定で、食道癌治療には必須の放射線治療装置も最新のものに入れ替えたとお聞きし、私が貢献できる環境であると確信し4月から働かせていただくことになりました。そんな経緯で就任早々、専門とする「食道・胃外科」外来を水曜日の午後に開設いたしました。

 

Q.専門の患者さんにやさしい手術(低侵襲手術)について説明をお願いします。

A.私が若い頃、腹部を大きく切開して行う開腹手術が当たり前でした。良い手術をするには切開を大きくし病変部をよく見えるようにすべき(great surgeon, great incision)と教えられ育ってきました。それが、1990年頃に、腹部に小さな穴を開け、そこから内視鏡(カメラ)、あるいは、手の代わりとなる細い鉗子を入れ、手術を行う腹腔鏡手術が開発され急速に普及しました。患者さんにとってはギズが小さく、術後の痛みも小さいので良いのですが、一方、外科医側からは、病変を直接見て触ってができないわけですから、慣れるまでは多少やりにくく、当初は否定的な意見を述べる外科医も多数でした。

現在、私の専門とする食道・胃においては癌に対する手術がほとんどですが、癌の手術はいかに正常の組織を傷つけずに、がん細胞が存在する領域をきれいに切除するかが重要です。腹腔鏡での手術は内視鏡で見ている分、拡大観察が可能で、また、機器の発展とも相まって、取りたい組織をきっちりと切除することができます。私は黎明期からこの手術の可能性に魅了され、胃癌・食道癌に対する手術の開発・確立に取り組んできました。決してキズが小さいだけの手術ではありません。合併症も少なく、完成度の高い手術です。

 

Q.ロボット手術についても説明をお願いします。

A.腹腔鏡手術の進化版がロボットを用いた手術です。腹部に数か所穴を開け、内視鏡や鉗子を入れるのは同じですが、その内視鏡や鉗子はロボットのものです。もちろんロボットが勝手に手術をするのではなく、動かすのは人間で、私自身は自動車の運転のようなものだと感じています。自動車は人間よりも早く正確に移動できますが、手術用ロボットも人間よりも力持ちで、その手にブレはなく動きは正確、かつ人間の目よりもより精細に生体を見ることが可能です。

これらの利点は、腹腔鏡での手術の利点を増幅するもので、癌をより正確に切除することが可能で、胃癌では長期の予後(生存率等)も良好との結果も出ています。日本で本格的にロボット手術が始まったのは2009年、藤田保健衛生大学でですが、私も当時同施設に在籍しており、王監督の手術で有名になった宇山先生とともに、ロボットでの胃癌・食道癌手術の開発に取り組みました。20184月からは保険診療として国に認められその後全国に普及しつつあります。当時、大阪日赤に異動していた私もロボット手術を再開し、現在まで多数の胃癌・食道癌手術をロボットを用いて行っています。

 

海外でも活躍されていると聞きました。

A.私の専門としている胃癌・食道癌は東アジアに多い病気で、この数十年、韓国や中国は日本をお手本として手術を行ってきました。低侵襲手術も日本での発展が早かったこともあり、講演や公開手術に呼ばれることも多く、中国には50回以上、韓国にも30数回、招待講演に呼ばれており、現在でも年に数回訪問しています。友人の外科医や関連する病院も多く、今後当院での医療ツーリズムを望む声もあり、需要に応じて対応していこう思っています。

 

Q.今後の抱負をお聞かせください。

A.八尾徳洲会総合病院では、今までも腹腔鏡手術は盛んに行われていましたし、ロボットでの手術もスタートしています。幸い、若い優秀でやる気のあるスタッフが大勢いますので、今後は彼らとともに、この低侵襲治療をより患者さんにやさしく完成されたものとし、大阪市内まで行かなくても同等以上の治療を受けられる病院として、患者様の信頼を得られるようにしたいと考えています。

 

 

金谷顧問のインタビューでした。患者様はもちろん、地域の医療関係者の皆様にも、どうぞ気楽に「食道・胃外科」の専門外来をご利用いただけるよう、よろしくお願いいたします。