2026年7月 金谷顧問の訪中記 その6

本年6月には当院若手外科医の白木先生,7月初旬には小池先生と中国に出張し,北京,博山,長春で手術を行なってきました(それぞれ,トピックスに別記事あり)。その後も,長春の病院での手術が予定されており,7月某日にWEB会議が開かれました。

その際に,なぜか青島(チンタオ)の病院から症例の提示があり,私に手術してほしいとのこと.なんのことはない,予定されていた長春での手術はキャンセルとなったため(患者さんが他の病院に行ってしまったとのこと),その代わりに青島での手術が組み込まれた様子でした。かなりの進行胃癌であり,膵臓への直接浸潤も否定できない状態で,術前化学療法が施行された症例です。そんなこんなで,今回は719日から21日の日程で中国の青島に行ってきました。

青島は「青島ビール」で日本にも馴染みの深い場所ですが,私にとっては初めての訪問です。人口は約1000万.海に面した大きな都市で,近代的なビルが林立した洗練された街との印象です。滞在中は大阪ほど気温は高くなく,風もあって過ごしやすい気候でした。

 

訪問したのは青島西海岸新区中心病院です。1989年に設立された大きな病院で,1000床.消化器センターも完備され,消化管の手術は年に胃癌約40,大腸癌約200例と,八尾徳洲会と同程度とのことでした。朝,病院を訪れると会議室に案内され,病院のこと,あるいは青島の医療情勢など,いろいろと説明を受けましたが,スタッフの対応,説明内容等,結構しっかりした病院との印象を受けました。

 

一通りの説明の後,院長から「外国人名誉教授」なる証書を授与されました.まだ何もしていない段階なので,恐縮しましたが,今後の関係を希望してのものの様です。

また,この後,病棟で,当日手術を受ける患者さんを紹介されました.私のことは説明済みのようで,にこにことされていましたが,まだ,切除可能と決まってもいない状態なので,なんだか少し気まずいものでした。ちなみに私の隣にいるのは北京大学4年生の桑原君で,今回,通訳その他ですごくお世話になりました。東京出身で,卒業後は日本に帰って消化器外科医になりたいとのことでした。そんな彼の前で,ヘタな手術はできません。

手術では,膵臓への浸潤もなく,無事腹腔鏡下胃切除ができました。助手もカメラマンも現地の外科医で,道具も違ったりと,多少やりにくい点はありましたが,どうにか満足できるレベルで終えることができました。ただ,今回も後で知ったことですが,中国全土にネットでライブ中継され,しかも視聴者は約5000人であったとのこと。途中慣れない助手で,少しイラついたりもしていたので,あとで聞いてびっくりです。確認していない私が悪いのかも知れませんが,最初に言っておいてほしいところです。いずれにせよ,何があっても平常心で手術すべきと再認識させられました。

 

手術のあとは,いつものように食事会で歓待していただきました。中国ではいつもは白酒というアルコール度数の高いお酒がふるまわれるのですが,ここ青島ではやはりビールがメインでした.また,日本以外ではめずらしく冷えたビールでした.2次会は庶民的なお店の屋外で,心地よい気候と相まって非常に気持ちのいいものでした。

 

721日は帰国です。早朝に空港に向かいました。青島の空港には以前に一度だけトランジットで立ち寄ったことがあるのですが,それとは違う新しい巨大な空港でした。以前にも紹介した北京の大興国際空港に似たヒトデの形です。各ゲートまで徒歩での移動が可能で,非常によく考えられた作りです。ただ,これも広大な土地があってのこと。こういった点,やはり大陸の大きな国にはかなわないなと再認識した次第です。